心理学人名事典:ヴィゴツキー[Vygotsuky,Lev Semenovich;1896〜1934]

ヴィゴツキー
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ヴィゴツキーはどんな人物?

旧ソビエトの心理学者で、38歳でこの世を去るまでの10年間で多くの実験的・理論的な研究を行いました。
彼はモスクワ大学で学び、社会科学・哲学・心理学・言語学・文学・美術等について多くの知識を獲得しました。

ヴィゴツキーの業績とは?

心理学の研究にエネルギーを注ぐようになったのは28歳頃で、38歳で肺結核に倒れるまで論文執筆を行っていました。その間に残した未刊の論文は80篇を超すといわれています。
彼が心理学の研究で目指したことは、意識の発達を歴史的・文化的に明らかにすることで、心理学を生理学に還元して、感覚的知覚や単純な記憶の実験を行っていきました。

ヴィゴツキーの理論の中核は2つ

❶ 高次精神機能の「記号」による被媒介性

人間は他の動物と違って、社会的・歴史的に形成されてきた道具を媒介とすることで自然と間接的な関係を持っています。人間特有の高次精神機能については、心理的道具としての記号(⇨言葉)によってを媒介されることに大きな特徴があると考えられています。

❷ 高次精神機能の社会的起源

高次精神機能の成立にとって言葉の媒介は必須ですが、発達過程において二つの水準が現れます。
最初は精神間機能として「社会的水準」が、次いで個人内で精神内機能として「心理的水準」が現れます。

発達の最近接領域(Zone of Proximal Development:ZPD)とは

発達の最近接領域とは現段階では、自力で課題を解決できる水準(=現下の発達水準)と他者の助けを借りれば解決できる水準(=潜在的発達水準)との差をさしています。これは、「一人ではできないけど、外部の助けがあればできる領域」のことで、ヴィゴツキーの発達理論では、子どもは他者との関わりを通じて発達を遂げると考えられていて「できるようになるまで発達を待つのではなく、発達の最近接領域に対して働きかけること」が重要であると考えました。

多少難しいと考えられる課題を与えた上で、助言を与えたり、自分より高い発達水準にある仲間と協同して取り組ませたりすることも大切で、さまざまな課題を達成させるための大事なプロセスになると考えられています。

文 献

福島 章 編(1996)精神分析の知 88, 新書館.
氏原 寛・山中 康裕 他 編(1999)カウンセリング辞典, ミネルヴァ書房.
中島 義明・子安 増生 他 編(1999)心理学辞典, 有斐閣.
氏原 寛・山中 康裕 他 編(2004)心理臨床大事典 改訂版, 培風館.
下山 晴彦 編(2014)誠信 心理学辞典 [ 新版 ], 誠信書房.
IPSA心理学大学院 予備校(2022)公認心理師試験対策標準テキスト ’22~’23年版, 秀和システム.

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