サリヴァンはどんな人物?
サリヴァンはアメリカの精神医学者で精神分析学者です。彼はニューヨークのノーヴィッチに生まれでアイルランド系のカトリックの家に育ちました。子供の頃は人間関係を避けて、動物を相手に過ごしていたといいます。後にシカゴ医学校を卒業し、1917年には学位を取得しています。
1920年代の後半には、シェパード・ブラット病院に勤務し統合失調症患者の理解を深め、その処置に成功した臨床家でもありました。第一次世界大戦中には米国軍隊の軍属として働き、1922年にはワシントンのセント・エリザベス病院で退役軍人の世話をしていたといいます。この病院ではW.A.ホワイトらの影響を受けて、彼は精神病学の領域に入ったという経緯があります。
そして晩年には脳卒中のためパリで急死したということです。
サリヴァンの業績・理論:精神医学を対人関係論として捉える
関与しながらの観察(participant observation)
サリヴァンは、対人関係における安全保障感は安定した関係によって満たされるため、心理療法等を行う治療者は自分自身や患者の不安のありように敏感で、その不安の意味を敏感に感じ取ることができるよう「関与しながらの観察」を行う必要があると考えました。患者と治療者との関係については、患者の対人安全保障感を修正して不安を低減させ、人格の成熟を促す対人関係論に根差した治療に注目し、統合失調症患者に対して良い結果をもたらしたと評価されています。
彼は「観察者としての治療者は自らの存在に影響を排除して患者の観察することはできない」と考えました。
福島 章 編(1996)精神分析の知 88, 新書館.
氏原 寛・山中 康裕 他 編(1999)カウンセリング辞典, ミネルヴァ書房.
中島 義明・子安 増生 他 編(1999)心理学辞典, 有斐閣.
氏原 寛・山中 康裕 他 編(2004)心理臨床大事典 改訂版, 培風館.
下山 晴彦 編(2014)誠信 心理学辞典 [ 新版 ], 誠信書房.
IPSA心理学大学院 予備校(2022)公認心理師試験対策標準テキスト ’22~’23年版, 秀和システム.
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