今回から3回程度は、心理アセスメントについて学習したいと思っています。この領域は略語も多いためどう進めようかと考えたのですが、幸いにも手持ちのテキストや辞書に「略語リスト」がありました。
早速、確認をしました。
心理職にとってアセスメントは大切な専門分野であり、対象の理解を深める欠かせない技能です。また、公認心理師の国家試験でも約8%出題されることになっているので手が抜けません。
臨床心理士の資格認定試験ではより専門性の高い事例などが出題される傾向があると思われます。
10年以上前の臨床心理士試験では、性格検査やロールシャッハのスコアの読み取りなどが出題されていました。当時は専門書も合わせて読んでいたと思います。大変だったな〜
投映法の性格検査:標準テキストP191〜
ロールシャッハ・テスト:「連想法」
ロールシャッハによって考案された左右対称のインクのしみから人格を査定する検査です。
片口法、クロッパー法、包括システムがあります。
TAT:主題統覚検査「構成法」
マレーとモーガンによって考案された検査で、31枚の図版を見て被験者が物語を自由に構成します。
ストーリーのテーマを分析し解釈しますが、信頼性・妥当性は明らかにしづらいといわれています。
子ども用にはCATも作成されています。
SCT:文章完成法「構成法」
言語連想検査を基にアメリカの心理学者らによって作成されました。
刺激語の後に続く文章を自由に書いて構成します。
P -Fスタディ:絵画欲求不満テスト「完成法」
ローゼンツァイクにより考案されたテストで、日常的の起こるフラストレーション場面に対して、登場人物がどのように反応するかを書き込んで完成させます。児童用、青年用、成人用の3種類があります。
プロフィールには集団一致度(GCR)得点、超自我因子の出現率などを算出します。
他責的、自責的、無責的の3つの方向
障害優位型、自我防衛型、欲求固執型の3つの型
これらを組み合わせて分析します。
ソンディ・テスト:「選択法」
実験衝動診断法ともいい、ソンディによって考案されました。
8種類の写真6セットを提示し、好きな写真と嫌いな写真を2枚ずつ選んでもらい、その選択に表れる衝動欲求を測ります。
バウムテスト:「描画法」
コッホによって考案されました。
画用紙に「(一本の実のなる)木を描いてください」と教示し自由に描いてもらいます。
分析や解釈は、形態、象徴、描線、空間象徴などの観点から行います。
HTP:「描画法」
Buck,J.N.によって考案されました。家、木、人の順に3枚の紙に分けて書いていきます。
描画終了後に質問文(PDI)を行い分析に役立てます。
描いた人物像とは反対の性別の人物も描くHTPPもあります。
風景構成法:「描画法」
中井久夫により統合失調症者との交流を模索する中で考えられ、箱庭療法の観点が活かされています。
「全体としてひとつの風景になるように」教示し、サインペンで枠付けをしてから、川・山・田・道・家・木・人・花・生き物・石の順に描いてもらいます。
解釈方法は指定されていませんが、ユング心理学や空間象徴理論を参考としています。
動的家族画(KFD):「描画法」
バーンズとカウフマンによって作成されました。
家族が何かしているところを描いてもらい、家族力動をアセスメントします。
人物像の特徴、行為、描画の様式、象徴の4項目から解釈します。
質問紙法の性格検査:標準テキストP196〜
矢田部・ギルフォード性格検査(YG性格検査)
120項目12尺度で構成される質問紙法の人格検査です。
12尺度は情緒安定性、社会適応性、向性の3つに分けられ、尺度の点数にそってプロフィールを描きタイプ(型)に分類します。
Aタイプ:平均的または平凡・・・Average Type
Bタイプ:感情的にふるまいがち・・・Black List Type
Cタイプ:控えめで客観的・・・Calm Type
Dタイプ:リーダーシップを発揮しやすい・・・Director Type
Eタイプ:神経質な傾向がある・・・Eccentric Type
東大式エゴグラムⅡ(TEG-Ⅱ)
デュセイがバーンの交流分析に基づいて作成したエゴグラムを東京大学医学部が質問紙として開発したものです。
CP(批判的な親)
NP(養育的な親)
A(合理的な大人)
FC(自由奔放な子供)
AC(従順的な子供) 5つの自我状態からパーソナリティを捉えます。
MMPI(ミネソタ多面人格目録)
ハザウェイとマッキンレーによって開発された550項目の質問からなる検査で、性格傾向を測定します。
4つの妥当性尺度と10の臨床尺度の粗点をT得点に換算しますが、弁別性を高めるために、K修正が行われます。
妥当性尺度:?(疑問)、L(虚偽)、F(頻度)、K(修正)
臨床尺度:Hs(心気症)、D(抑うつ)、Hy(ヒステリー)、Pd(精神病質的逸脱)、Mf(男性性・女性性)、Pa(妄想症)、Sc(統合失調症)、Ma(軽躁)、Si(社会的内向性)
MPI (モーズレイ性格検査)
アイゼンクによって作成され、外向性と神経症傾向の2つの尺度により性格を捉えます。
L尺度という虚偽発見尺度があります。
EPPS (エドワード個人的傾向目録)
エドワードによってマレーの欲求−圧力理論をもとに作成されました。
15の欲求を測定する検査で、社会的望ましさのほぼ等しい、対になる項目を選択するように構成されています。
NEO-PI-R
性格を5つの特性に捉えるビッグファイブ理論に基づいて、コスタとマックレーにより作成されました。
神経症傾向、外向性、開放性、後から加えられた調和性、誠実性の5つの尺度があります。
16PF
特性論に基づきキャッテルが作成しました。
12の根源特性と4つの特性によって構成されています。
不安とうつ症状測定のための質問紙法検査:標準テキストP200〜
MAS(顕在性不安尺度)
テイラーにより作成され、MMPIから顕在性不安を表す項目を抽出して作成されました。
児童用はCASがあります。
STAI(状態−特性不安検査)
スピルバーガーによって作成され、現在感じている不安(状態不安)と性格特性としての不安(特性不安)を測定します。
SDS(自己評価式抑うつ性尺度)
ツングにより作成され、現在の抑うつ状態を尋ねる20の質問項目により構成されています。
BDI-Ⅱ(ベック抑うつ評価尺度)
ベックにより作成され、DSM-Ⅳの診断基準に基づいて構成された21の質問項目があります。
抑うつ状態の重症度を測定することができます。
子ども用にはCDIがあります。
HRSD(ハミルトンうつ病用評価尺度)
ハミルトンによって作成され、症状の程度からうつ病の重症度を測定します。
構造化面接の形を形式で使用します。
CES-D(うつ病自己評価尺度)
米国国立精神保健研究所によって作成されました。
うつ病のスクリーニングテストとして使用されています。
EPDS(エジンバラ産後うつ病質問票)
産後うつ病をスクリーニングするために、英国のコックスらが開発しました。
妊娠期から出産後1年未満の女性が対象で、10の質問で構成されています。
公認心理師試験対策研究会(2022)心理教科書 公認心理師 完全合格問題集 第1回〜第5回試験解説版, 翔泳社.
IPSA心理学大学院 予備校(2022)公認心理師試験対策標準テキスト ’22~’23年版, 秀和システム.
下山晴彦 編(2014)誠信 心理学辞典 [ 新版 ], 誠信書房.
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