心理学人名事典:ノイマン[Erich Neumann;1905〜1960年]

エーリッヒ・ノイマン
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ノイマンはどんな人?

ノイマンはベルリンに生まれ、ベルリン大学で哲学と医学を学びました。
1943年にはユングと出会い、ユング派の分析家として過ごしましたが、極めて創造的ではあるものの学派の中では不協和音を醸し出していたといいます。のち彼は、イスラエルのテル・アビブへ移り、終生そこで活躍したとのことです。

意識の起源史」では、人間の心の発達プロセスをユング心理学の立場から研究しました。また女性原理をまず人間の意識の根源とし、それをまた無意識と考え、そこから男性原理、つまり意識ないし自我というものが発生してくると概念化しました。

ノイマンの理論

ノイマンは意識の原初的段階から中心志向が統一性機能をもつと考え、それが文化と個性化を促していると主張しています。また幼児期の中心志向とは母親の全体性であり、中心自己が直接的に働いているが、やがて意識と無意識の補償的作用が主になっていくと考えました。

彼は人間の創造性に関心を持ち、カフカ、シャガール、フロイト、ユングらの創造性をユング派の立場から分析しています。また自身で小説や詩を書いたりして芸術的な活動を続けていたということです。

グレートマザー」という本では、人間の心の歴史において、母性性がいかに根本的なものであるかということを、世界のさまざまな文化人類学的なデータや芸術学的データをもとに明らかにしようとしました。

ウロボロスは両性具有的なもので、女性面と男性面を含んでおり、ユング派の分析としては「ウロボロスの克服とは、母親殺しをまず行い、そしてまた父親殺しを経なければならない」としています。

文 献

福島 章 編(1996)精神分析の知 88, 新書館.
氏原 寛・山中 康裕 他 編(1999)カウンセリング辞典, ミネルヴァ書房.
中島 義明・子安 増生 他 編(1999)心理学辞典, 有斐閣.
氏原 寛・山中 康裕 他 編(2004)心理臨床大事典 改訂版, 培風館.
下山 晴彦 編(2014)誠信 心理学辞典 [ 新版 ], 誠信書房.
IPSA心理学大学院 予備校(2022)公認心理師試験対策標準テキスト ’22~’23年版, 秀和システム.

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