マルクーゼのまな板:成長を望む背景に廃れゆく人類の生活が・・・

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マルクーゼはどんな人? 〜哲学大図鑑(ウィル・バッキンガムほか 著)より〜

ヘルベルト・マルクーゼ
フィロソファー

マルクーゼ(Herbert Marcuse;1898〜1979年)は、ドイツ出身で出自はユダヤ系で、アメリカの哲学者でした。彼はベルリンに生まれ、フライブルグ大学で、フッサールやハイデッガーの元で、ヘーゲルの研究に従事したといいます。1933年からはフランクフルトの社会研究所につとめ、フランクフルト学派の一員になりましたが、1934年にアメリカに亡命し、1940年に帰化しています。第二次世界大戦中はアメリカの「対ナチス」政策に協力した経緯があるといいます。

マルクーゼの言葉:著作「理性と革命」(1941年)

存在するものは真実ではありえない。

私たちが理性的とみなすもの(政治システムなど)にしても、私たちに許容できるよりもはるかに非理性的なことがある。

マルクーゼが目指すものは、私たちを揺さぶって、私たちが当然と思っている多くの事柄が非理性的な本性を有していることに気づかせることだ。

「自由と抑圧、生産と破壊、成長と退行とのおぞましい調和」を心底嫌悪する。

マルクーゼのまな板:成長を望む背景に廃れゆく人類の生活が・・・

自由と抑圧
生産と破壊
成長と退行
おぞましい調和・・・

マルクーゼのまな板には、このような文言が刻印されている。
全ては、この世に存在する矛盾を指摘する言葉のようだが、どれだけ自覚的に理解できているのだろうか?

gomagoma の日常は「自由だけれど、抑圧された役割に満ちている」
生活の中の雑務は「生産できるものもあるけれど、役に立たないものは破壊する」

これは・・・
役にたたないモノやヒトが何処かに追いやられるということか?
隔離するということか?

社会が超スピードの成長を遂げる。
一方、失うものの多さにワタシとアナタは落胆する。
「こんな割り切り方、こんな処分法、こんな断念のあり方・・・それでいい?」
考えてみると、おぞましいまでに残酷なシステムが背景にありそうな気がする。

「私たちが当然と思っている多くの事柄が非理性的な本性を有している」と
マルクーゼは言う。
まな板をコンコンと包丁で叩く。
切り刻む。
ここで切り込むものを間違えてはいけない。

それでも世の中の影響をどこかに感じては、苦しくなる。
納得しているのか?
間違えてはいないだろうか?

gomagoma は今までこんな思考を繰り返すことを断念していたように思う。
楽しく、明るく、平和に、快適な毎日・・・それが幸福な生活だと信じて。

自由な世界の背景に大きな責任が
生産的な活動の背景に置き去りになった存在が
成長を望む背景に廃れゆく人類の生活が・・・

おぞましい調和を回避したい。

あらためて考えるべき時期が来ていると直感する。
小さな家の、小さなキッチンに、マルクーゼのまな板を数個、用意することにしよう。

ニュージーランドのオレンジラフィー
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