心理学人名事典:コールバーグ[Kohlberg,Lawrence;1927〜1987]

ローレンス・コールバーグ
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コールバーグはどんな人物?

ニューヨーク市生まれで、1958年にシカゴ大学で学位を取得しています。彼はイエール大学などを経て、1968年にはハーヴァード大学の教授に就任し、1974年には同大学の道徳教育発達センターの所長になっています。彼はピアジェの影響を受けながら、道徳の認知発達的理論を構築していきました。

コールバーグは道徳教育センター所長在任中に、うつ病治療中に死去しています。

コールバーグの業績・理論:「ハインツのジレンマ」が有名

ハインツのジレンマ課題

① ハインツの妻は病気にかかって死に瀕している。
② 意思はその病気がなくなる薬があるという。
③ その薬を作った薬剤師は、薬の開発にかかった10倍の値段をつけている。
④ ハインツは薬を買うために必死でお金を集めたが、薬のお金の半分しか集まらなかった。
⑤ ハインツは、必死に頭を下げ「安く売ってくれないか」「残りは後で支払う」とお願いした。
⑥ 薬剤師は、それでは金儲けが出来ないからと断った。

⇒ 結果、妻を助けたいハインツは薬を盗んだ。 ハインツの行為は正しいか?

コールバーグによる道徳判断の発達段階(3水準6段階)

【水準1】前慣習的水準
・段階1:罰と服従志向
     罰を回避し、権威に服従する
・段階2:道具主義的相対主義者志向
     取引や有効性の観点から判断する

【水準2】慣習的水準
・段階3:対人関係の調和あるいは「良い子」志向
     多数意見や承認されることを重視した判断をする
・段階4:「法と秩序」志向
     規則や社会的秩序を守ることを重視する

【水準3】脱慣習的水準
・段階5:社会契約的遵法主義志向
     個人の権利や社会全体の価値に従って合意することを重視する
・段階6:普遍的な倫理的な原理志向
     人間の権利や平等性などの倫理に従って判断する

コールバーグの道徳性発達理論は、表面的な道徳行動や知識の内容ではなく、道徳的判断の背後にある認知的な構造に焦点をあてたもので、道徳性の正義や公平さを規定したものになっています。

文 献

福島 章 編(1996)精神分析の知 88, 新書館.
氏原 寛・山中 康裕 他 編(1999)カウンセリング辞典, ミネルヴァ書房.
中島 義明・子安 増生 他 編(1999)心理学辞典, 有斐閣.
氏原 寛・山中 康裕 他 編(2004)心理臨床大事典 改訂版, 培風館.
下山 晴彦 編(2014)誠信 心理学辞典 [ 新版 ], 誠信書房.
IPSA心理学大学院 予備校(2022)公認心理師試験対策標準テキスト ’22~’23年版, 秀和システム.

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