子どもと親のこころを支える(9):生物として人の最早期の体験の重要さを学んでみる

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生物学で考える人の脳について

人が誰かと関わる習慣やパターンは、とても幼い頃のほとんど生物学的・生理学的な枠組みがベースになっていると考えられています。でも私たちは自分自身のパターンを意識することはめったにないでしょう。

早期の人間の脳は、「神経可塑性」として知られているということで、情緒的な学びが行われる柔軟なものであると考えられています。中でも妊娠28週目から生まれて2年目までの期間は重要で、出生前生活期間のピークには、脳が毎分25万もの細胞を生み出しているといいます。

gomagoma

これはすごいことだね。

サイコロジスト

特に最初の5年間と思春期は「感受性が強い期間」で、なんらかの可塑性は生涯にわたって残ると考えられています。

脳内ホルモンの影響を受けると・・・

文献にはこんなことも書かれています

  • 抑うつ的な母親と一緒にいる乳児は、母の低いドーパミンを反映して、生後1か月時のドーパミン濃度が低い
  • トラウマや不安にさらされたりすると、コルチゾール濃度が増加し、心拍数や血圧が上がり、闘争のための準備を行う。そしてこのコルチゾールが記憶のための主要な脳領域である海馬の細胞を破壊してしまう。
  • 愛する人と一緒にいるとき、あるいは授乳やセックスをしているとき、またマッサージを受けているときに、オキシトシン濃度が増加する。
  • オキシトシンは社会的な恐怖を低減させるのではないかと示唆されている。
  • ストレスのパターンが早期に入り込めば転換するのは難しく、ほとんど生物学的なプログラムに組み込まれることになる。
hokenC

大人になって明確な記憶にはないけれど、とてつもなく不安になったり、恐怖を感じたりするような場面が再現されることがあります。そういう時は人生早期の情緒的体験や脳内物質の流れのパターンなどが関連しているのかもしれませんね。

文 献

グレイアム・ミュージック「子どものこころの発達を支えるもの -アタッチメントと神経科学、そして精神分析の出会うところ」2016 誠信書房.

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第1章 序論:群盲象を評す
第2章 命の始まり:受精から誕生まで
第3章 関係性の中に生まれてくる
第4章 共感、自己、そして他者のこころ
第5章 アタッチメント
第6章 生物学と脳
第7章 言語、言葉、そして象徴
第8章 記憶:自分が何者で、何を期待するのかについて学ぶ
第9章 遊び:楽しみ、象徴化、練習、そしてふざけること
第10章 大人に向かって
第11章 トラウマ、ネグレクト、そしてその影響
第12章 遺伝子、素質と養育
第13章 本書のまとめ:早期の体験とその長期的な結末

アリシア・F・リーバーマン、パトリシア・ヴァン・ホーン「子どもー親心理療法 トラウマを受けた早期愛着関係の修復」2014 福村出版.

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