子どもと親のこころを支える(10):人間の情緒を支配する脳のテンプレート

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人間の脳について

文献からの情報

  • 左の前頭皮質は一般的に陽性感情を支配していて、幸せで陽気で希望のある人は、こちらがより活発であると考えられています。
  • 抑うつ的な子どもや大人は、右の前頭皮質がより活動的で、左脳の活動がより少ないことが示されています。
  • 左前頭葉の脳機能は、自律性、自己受容、そして意図を持つといった特徴が示されています。

ショアー(Schore,1994)や他の研究者らは、情緒的に優勢である右脳は、乳児期最早期が最も大切で、論理と認知に優勢な左脳と皮質は、不可欠な神経回路とシナプス結合が多く形作られる最初の数年には、大きな役割を果たさないと主張しています。

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小さな赤ちゃんの心である情緒は、右の脳が影響するんだね。
難しい論理よりも、もっと大切なことがあるみたい。

人間の情緒の成り立ちは・・・

愛情ある養育と穏やかなホルモンの放出によって、これらのホルモンの多くの受容体が発達して、将来の情緒的体験のためのテンプレートが築かれると考えられています。なので、将来に影響するトラウマやネグレクトといった不適切な環境が認められる場合は、子どもたちにとっては将来にわたる大きな損失になりうるといえます。

言葉で表現できない乳幼児期こそ大切!

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心理学を学ぶまでは、乳幼児期の大切さをここまで意識することはなかったように思います。当時の記憶を明確に言語化できる人間はいないと考えられていますが、脳内のネットワークに組み込まれた情緒的な体験は一生通じて影響を与え続けるといえます。

もっと、気持ちを穏やかに、そして色んな人の力を得ながら楽しく子育てができていたら・・・と考えてしまいます。振り返ってみると「いつもイライラ、バタバタ、どんよりして」化粧もせず、髪もボサボサでした。今更ながら「子どもたちの安全と命は守ることはできたけど、それだけでよかったのか?」と省みる今日この頃です。

文 献

グレイアム・ミュージック「子どものこころの発達を支えるもの -アタッチメントと神経科学、そして精神分析の出会うところ」2016 誠信書房.

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第1章 序論:群盲象を評す
第2章 命の始まり:受精から誕生まで
第3章 関係性の中に生まれてくる
第4章 共感、自己、そして他者のこころ
第5章 アタッチメント
第6章 生物学と脳
第7章 言語、言葉、そして象徴
第8章 記憶:自分が何者で、何を期待するのかについて学ぶ
第9章 遊び:楽しみ、象徴化、練習、そしてふざけること
第10章 大人に向かって
第11章 トラウマ、ネグレクト、そしてその影響
第12章 遺伝子、素質と養育
第13章 本書のまとめ:早期の体験とその長期的な結末

アリシア・F・リーバーマン、パトリシア・ヴァン・ホーン「子どもー親心理療法 トラウマを受けた早期愛着関係の修復」2014 福村出版.

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