心理学人名事典:エインズワース[Ainsworth,Mary;1913〜1999]

エインズワース
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エインズワースはどんな人物?

アメリカの発達心理学者でヴァージニア大学の教授をしていました。彼女は幼い頃にカナダに移住してトロント大学で博士号を取得しました。後に結婚してからはロンドンへ移住し、タビストック・クリニックでボウルビィの研究助手を務めたことから愛着の研究に大きな関心を持つようになりました。

エインズワースの業績・理論とは?

彼女はウガンダで母子関係の研究を行い、ストレンジ・シチュエーションの実験観察法を標準化しました。

ストレンジ・シチュエーション法
〜 ボウルビィのアタッチメント(愛着)理論に基づいて観察を実施 〜

実験方法

人見知り激しい満一歳時の乳児が母親と見知らぬ部屋に入室し、見知らぬ人物に会い、母親はこの人物に乳児を託して退室します。その後しばらくしてまた戻ってくるというもので、全体で8つのエピソード場面における乳児の反応によって3つの群に分類しました。

Aタイプ:回避型(avoidant)

分離で泣かず、再会でも母を避けるほど母親との結びつきの薄い行動を示しました。

Bタイプ:安定型 (secure)

分離で泣き、再会で母に身体的接触を強く求めて、その結びつきの強さを示すとともに、安心すると活動を再開するといった母親への信頼感を内包する行動を示しました。

Cタイプ:アンビバレント型(ambivalent)

分離で激しく泣き、再開場面では身体接触を求めるが、同時に叩くなどの怒りの感情を示し、十分な信頼感を持てないでいる状態でした。

Dタイプ

Dタイプはエインズワースの初期の実験にはなく、その後見い出されたタイプです。
戻ってきた母親に対して顔を背けながら近づいたり、母親にしがみついた直後に床に倒れ込んだりといった、本来なら両立しにくい行動を同時に示します。また、うつろな表情のまま動かなくなってしまう事もあり、何をしたいのかが読み取りにくいタイプです。

Dタイプの子どもの母親は、抑うつ傾向が高く精神的に不安であり、子どもへの虐待が見られる事が多いとされています。ストレスに対して極めて脆弱で、情緒的に引きこもりやすいタイプだと考えられています。

「エインズワースのアタッチメント観察法と4つのタイプ」についてはこちらが参考になります。

文 献

福島 章 編(1996)精神分析の知 88, 新書館.
氏原 寛・山中 康裕 他 編(1999)カウンセリング辞典, ミネルヴァ書房.
中島 義明・子安 増生 他 編(1999)心理学辞典, 有斐閣.
氏原 寛・山中 康裕 他 編(2004)心理臨床大事典 改訂版, 培風館.
下山 晴彦 編(2014)誠信 心理学辞典 [ 新版 ], 誠信書房.
IPSA心理学大学院 予備校(2022)公認心理師試験対策標準テキスト ’22~’23年版, 秀和システム.

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